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2026.05.27
オフィス移転の進め方|担当者が押さえたいスケジュールと5つのステップ
オフィス移転を任された担当者が、最初に押さえること
オフィス移転は、企業によって10年に1度、長いところでは20年以上ぶりという、頻度の低いプロジェクトです。多岐にわたる工程の管理が必要で、日常業務と並行しながら進めることになるため、初めて担当する方にとっては不安の大きい業務といえます。
東京商工リサーチ「2024年度 他都道府県への本社移転」調査によると、2024年度に本社・本社機能を移転した企業は16,271社で、前年度比18.7%増と大きく伸びています。同調査では、従来の需要対応やランニングコスト抑制に加えて、人手不足・採用難への対応や、従業員の働き方改革を目的とした移転がトレンドに加わってきたと分析されています。オフィス移転は、いま多くの中堅企業にとって身近な経営課題となっています。
移転を成功させる鍵は、スケジュール管理にあります。物件の解約・契約、内装工事、引越し、官公庁への届出といった多様な業務を、限られた期間内に並行して進めるためには、全体像をつかんだうえで計画的に動くことが欠かせません。本コラムでは、移転を1年前から逆算した5つのステップで整理し、各段階で総務担当者が押さえるべき要点を解説します。
オフィス移転スケジュールの全体像
オフィス移転に必要な期間は、規模や目的によって異なります。一般的には、コンセプト策定や物件探しの準備期間を含めて、12〜15か月程度のゆとりを持った計画が推奨されます。
なぜここまでの期間が必要かというと、移転プロジェクトには多岐にわたるタスクが複雑に関係し合っているためです。具体的には、現オフィスの解約予告、原状回復、新オフィスの契約、内装工事、家具発注、引越し業者の手配、官公庁への届出、社員への告知、データ移行、IT環境整備など、進めるべき業務は多岐にわたります。これらが時系列で重なり合い、ひとつのタスクの遅れが全体に波及します。
特に注意したいのが、現オフィスの解約予告期間です。一般的な賃貸オフィスビルでは、退去の6か月前までに解約通知を出さないと、解約が成立しないケースが多くあります。このタイミングを逃すと、新旧両方のオフィスの賃料を二重に支払う期間が発生し、想定外のコストにつながります。
移転スケジュールは、12〜15か月前から逆算して立てることが理想的です。次の章では、各フェーズで押さえるべき要点を順に整理します。
オフィス移転の5つのステップ

オフィス移転を5つのフェーズに分けて、それぞれのタイミングで進めるべき業務を整理します。
フェーズ1:現状把握と目的整理(12〜10か月前)
最初に取り組むべきは、「なぜ移転するのか」を明確にすることです。コスト削減、組織拡大への対応、働き方の見直し、老朽化への対応など、移転の目的によって、その後の物件選定やレイアウト設計の方向性が変わります。目的が曖昧なまま物件探しを始めると、後の判断がぶれて、迷走の原因になります。
あわせて、現在の賃貸借契約の確認も必須です。解約予告期間、原状回復の範囲、敷金の取り扱いなどを、契約書を改めて読み込んで把握しておきます。
フェーズ2:物件選定とパートナー選び(10〜7か月前)
目的が定まったら、物件選定に入ります。立地、賃料、面積、設備、ビルのグレード、入居テナントの構成など、確認すべき項目は多岐にわたります。
このフェーズで重要となるのが、信頼できるパートナーの選定です。不動産仲介会社、設計会社、内装業者、引越し業者、家具納入業者など、関係する事業者は多数に及びます。すべてを個別に手配するのは負担が大きく、抜け漏れも発生しやすくなります。設計から家具、施工までを一貫してサポートできる事業者をパートナーに迎えることで、調整負荷を軽減できます。
フェーズ3:設計・レイアウト(7〜4か月前)
物件が決まったら、レイアウト設計と内装工事の計画を進めます。執務エリア、会議室、リフレッシュスペース、エントランス、収納など、必要なスペースを書き出し、社員数や働き方に合わせて配置を検討します。
この段階で、社員アンケートや経営層へのヒアリングを実施しておくと、移転後のミスマッチを防げます。
フェーズ4:工事・引越・告知(4〜1か月前)
工事のスケジュール、家具納品のタイミング、引越し日の確定、社内告知。このフェーズはタスクが集中し、関係者との調整が密になります。
社員への告知は段階的に行うことが効果的です。一斉に伝えるよりも、移転日や荷物の運び方、新オフィスのレイアウトなど、情報を段階的に共有していくほうが、社員の不安を抑えられます。
フェーズ5:移転後の運用立ち上げ(移転日〜3か月後)
移転は、引越し当日がゴールではありません。新オフィスでの運用ルールの定着、社員からの声の吸い上げ、不具合への対応など、移転後の数か月が、新しい働き方が根づくかどうかの分かれ目となります。
新オフィスの運用マニュアルを作成し、社員へ周知することが、定着の鍵となります。
オフィス移転でよくある失敗と対策
移転プロジェクトでは、後から振り返って「もう少し早く準備しておけばよかった」という声がよく聞かれます。代表的な失敗例と対策を整理します。
失敗1:解約予告のタイミングを逃す
解約予告の期限を見落とすと、新旧両方のオフィスの賃料を二重に支払う期間が発生します。対策として、プロジェクトが始まった日に、まず賃貸借契約書を確認し、解約予告期限をスケジュール表に記入しておくことが重要です。
失敗2:社員への告知が遅れる
移転は、社員にとって働き方が大きく変わる出来事です。決定事項を伝えるだけでなく、進捗を共有し、社員の不安や疑問に応えるコミュニケーションが、移転後の定着を左右します。プロジェクト開始の早い段階から、社内告知の計画を立てておくことが対策となります。
失敗3:移転後の運用設計を後回しにする
レイアウトや家具を整えても、運用ルール(共有スペースの使い方、収納のルール、清掃の担当など)が決まっていないと、移転後すぐに混乱が起きます。フェーズ3の設計段階で、運用ルールも並行して検討しておくことが必要です。
失敗4:パートナー選びを十分に行わない
物件選定や工事業者の選定を急ぐあまり、十分な比較検討を経ずに発注してしまうケースがあります。複数の事業者から提案を受け、対応範囲と実績を比較したうえで、自社の規模や目的に合うパートナーを選ぶことが大切です。設計から家具、施工までを一貫してサポートできる事業者を選べば、調整負荷を抑えながらプロジェクトを進められます。
チェックシートで、まず全体像を把握する
オフィス移転は、初めて担当する方にとって、タスクの全体像をつかむことが最初の難所となります。スケジュールを頭の中で組み立てようとすると、抜け漏れが発生しやすく、進捗管理も難しくなります。
そこで有効なのが、チェックシートを使った全体像の可視化です。タスクを時系列で並べ、担当者と期日を明記しておくことで、進捗管理が格段に楽になります。
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