2026.08.17

フリーアドレス導入したのに誰も動かない?「形だけ」で終わらせない3つのコツ

導入してから気づく、「変わっていない」という現実

フリーアドレスを導入したとき、「部署を超えた交流が生まれる」「スペースが有効活用できる」「社員が自由に働けるようになる」きっとこんな期待があったはずです。

ところが、いざ運用が始まってみると、毎朝ほぼ同じメンバーが同じエリアに集まり、結果的に「なんとなく固定席」が生まれている。荷物の置き場に困った社員が特定の席をいつも使い続けている。制度は変わったのに、社内の景色はほとんど変わっていない・・・。

こうした状況は珍しくありません。多くの場合、原因は「制度」ではなく「空間と運用のすれ違い」にあります。フリーアドレスという働き方の考え方は正しくても、空間と運用が伴っていなければ、社員の行動はなかなか変わりません。

今回は、フリーアドレスが機能しやすくなるための考え方と、具体的な改善のポイントをお伝えします。すでに導入済みで「もう少し活用したい」という方にも、これから検討されている方にも、参考にしていただければ幸いです。

なぜ同じ席に座ってしまうのか

フリーアドレスが思うように機能しない理由は、大きく3つに分けられます。

1、「荷物の問題」

個人ロッカーや収納スペースが十分でないと、社員は荷物を広げたり、余裕をもって置ける席を自然と確保しようとします。「持ち歩けないから、ここを使い続ける」という行動は、意識の問題ではなく、空間の設計が引き起こしています。収納が整うだけで、席への執着はかなり薄れます。また、個人の荷物だけでなく、チーム共有の資料や備品の置き場が整理されていないと、「あれはどこにある?」という探し物のストレスが積み重なり、それも移動しにくくなる原因になります。

2、「集中できる場所が少ない問題」

フリーアドレスでオープンなレイアウトにした結果、どこに座っても周囲の声や視線が気になる。このような状況になっていると、社員は「ここは落ち着かない」と感じながらも、慣れた席から離れなくなります。それは移動することで得られるメリットを感じられないからです。「集中したいとき用の席」が用意されていると、社員は目的に合わせて場所を選ぶ行動が自然に生まれます。

3、「どこに座ればいいかわからない問題」

エリアに明確な用途が設定されていないと、社員は毎朝「どこにしようか」という小さなストレスを抱えることになります。「集中したいときはここ」「チームで話したいときはここ」という指針がないまま運用すると、安心できる場所、つまり昨日と同じ席に自然と落ち着いてしまいます。空間にメッセージを持たせることが、行動の変化につながります。

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つまり、フリーアドレスとは「席を決めないルール」ではなく、「どこにいても働きやすい空間」を前提にした働き方です。空間が整っていなければ、制度だけが宙に浮いてしまいます。

機能するフリーアドレスにするための3つのポイント

ポイント1:「しまえる場所」を先に整える

個人ロッカーや可動式のパーソナルキャビネットを用意することが、フリーアドレス成功の大切な条件のひとつです。「荷物を毎朝持ち出して、夜しまう」という動線が自然に回るようになると、席への執着が薄れ、社員は自由に動けるようになります。キャスター付きのキャビネットであれば、その日座る席の隣に移動できるため、持ち運びのストレスもなくなります。収納の整備は地味に見えますが、社員の行動変容への入口として非常に効果的です。

ポイント2:「集中できる席」と「話せる席」を明確に分ける

オープンエリアだけでは、「集中したい人」と「コミュニケーションしたい人」の需要が衝突します。吸音素材を使ったパーテーションやブースで仕切られた集中エリア、逆に会話が生まれやすいラウンジエリアをそれぞれ設けることで、社員は「今日の仕事内容に合わせて場所を選ぶ」という行動に自然と移行します。吸音効果のあるブースは、周囲への音漏れに配慮しながら集中できる空間をつくるのに有効です。一方、カジュアルなラウンジソファやカウンター席は、偶発的な会話や短い打ち合わせを促します。この「メリハリ」があることで、フリーアドレスの本来のメリットである「業務に合わせた場所選び」が実現しやすくなります。

ポイント3:「使い方のルール」を社員と一緒につくる

フリーアドレスの運用ルール----荷物の管理方法、席の予約可否、エリアごとの使い方----を経営側が一方的に決めるのではなく、社員の声を聞きながら決めるプロセスが定着率に大きく影響します。「自分たちが決めたルール」という感覚が、自発的な行動を生みます。最初から完璧なルールをつくる必要はありません。試しながら「ここは変えよう」「このエリアの使い方を見直そう」と柔軟に更新していく姿勢が、長期的にフリーアドレスを機能させるコツです。社員が「自分の職場を自分たちでよくしている」という感覚を持てると、働きがいにもつながります。

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改善の前に「今の状態を知る」ことが大切

フリーアドレスの改善を考えるとき、「とにかく家具を変えればいい」という発想から入ると、的外れな投資になることがあります。

「社員がどこに不満を感じているか」「何を求めているか」を先に把握することが、効果的な改善への近道です。
同じ「フリーアドレスをもっと活用したい」という状況でも、原因が収納不足なのか、集中スペースの不足なのか、ルールの不明確さなのかによって、打つべき手はまったく異なります。アンケートやヒアリングで社員の声を拾い上げるプロセスが、改善の精度を高めます。

また、フリーアドレスの見直しは、社員にとって「働き方が変わる」体験です。「なぜ変えるのか」「どんな状態を目指しているのか」を丁寧に伝えながら進めることで、社員の納得感と定着率が変わります。変化のプロセスに社員を巻き込むこと自体が、エンゲージメントを高める機会にもなります。フリーアドレスは、一度つくったら終わりではありません。

働き方の変化や人数の増減に合わせて、空間もルールも柔軟に育てていくものです。「まずやってみて、見直す」という姿勢が、長く機能するオフィスをつくります。

「今の状態を、もう少し良くしたい」と思ったら

フリーアドレスに限らず、「制度は整えたけれど、もう少し改善できそう」と感じる場面は少なくないかもしれません。そういうとき、まず役立つのは「現状を数字で知ること」です。感覚的な課題認識を、データで裏付けることで、次の一手が明確になります。

コクヨ東北販売では、70,000名以上の回答実績を持つ働く環境診断サービス「はたナビ」をご提供しています。社員が実際に何に困っているかを可視化し、全国平均と比較しながら自社の課題を整理することができます。

「もう少し良くできそう」を「ここを変えれば変わる」に変えるための、最初の一歩としてお役立てください。大がかりなリニューアルでなくても構いません。まずは「何が気になっているか」を言葉にするところから、一緒に始めましょう。